■魔法少女まどか☆マギカ舞台裏インタビュー


 「魔法少女まどか☆マギカ」は公開以降勢い衰えず、空前のヒット作となった。映像化不可能といわれた「魔法少女の夜」を原作とした日本の実写映画である。
 公開まで映画の内容・出演者の情報は一切不出なため、主演5人の素性を知ることはできないでいた。
 今、ようやくインタビューが解禁された。
 謎に包まれていた彼女たちのヴェールを剥がしていきたいと思う。


━初めまして。まずは8月のヴェネツィア国際映画祭ノミネートおめでとうございます。
カナメ マドカ(敬称略)
要 窓花(以下:要)
ありがとうございます。光栄というか、畏れ多いです。
ミキ サヤ
三木 沙夜(以下:三木)
本当に全然実感が湧かないです。
サクラ アズサ
桜 杏(以下:桜)
皆で海外旅行したいねなんて話してたのに、まさか初めての海外がヴェネツィアになるとは思いませんでした。


━私生活でも皆さんの交流は続いているのですか?


実のところクランクアップ以降全く音沙汰なくて、普通に学生生活に戻ってました。

三木
会いたいとは思ってたけど、皆家遠くてなかなか会えない。
私がたまに一番近い窓花を呼び出すくらいで、他の皆はたぶん会えてないかも。


うん。私も今年受験で忙しくてなかなか腰が重いですね。たまに窓ちゃんと沙夜ちゃん二人一緒の写メが送られてきて羨ましいなあって思う。だから今日久しぶりに皆に会えて嬉しい。

三木
皆といっても三人だけどね。


アン
杏ちゃんに会えたのは嬉しいんだけど、あと二人はどうしたの?

━イベントが押してしまっているようで、もうすぐ到着するそうです。


━学生生活に戻られて、何か変化はありましたか?


映画のことは秘密にしていたので、公開直後はそれほど変化はありませんでした。
でも徐々に皆気づき始めて、今ではお昼休みはちょっとしたサイン会状態になってます。

三木
私は言いふらしまくったんだけどね、誰も信じてくれなかったよ。
それでいざ公開したら皆驚いてた。それまでは狼少女扱い(笑)

━一同(笑)



私はファンレターをたくさんもらうようになりました。
直接手渡しだったり下駄箱に入ってたり色々ですが…。
ただその中にラブレターも混入していて…ちょっと戸惑ってます。

三木
あれ?杏ちゃんとこ女子校じゃなかったっけ?


キマシ


そう、女子校なのに。
知らない人なら良いんだけど、仲の良い友達から受け取った時はどうしたら良いのかわからず、本当に悩んでます。

━現在進行の話とはすごいですね。


三木
佐倉杏子はイケメンだから女子人気高いよね。
女の子が杏に惚れてしまうのも理解できる。


本人は清楚でお嬢様なのにねえ。
杏ちゃんは私達5人の中で一番役柄とギャップあるんじゃないかなあ。


ええ〜そうかなぁ。一番は穂村ちゃんだと思うけど。

三木
あれは例外。関西の人だし。

  ホムラ アケミ
━穂村明美さんは関西ご出身なのですか?


和歌山人です。プライベートでは和歌山弁です。


━ちなみに友江さんはどのような方なのでしょうか。


真美さんは本当マミさんって感じですね。
先輩でお姉さんで優しくて、皆を引っ張ってくれる存在。
ただ、お茶が…。

三木
ああ、お茶ね…。

━お茶、と言いますと?


真美さんの専門は日本茶で、紅茶は不得手なんです。
撮影でも”湯のみ”の持ち方に悪戦苦闘してました(笑)

━一同(笑)


 話が尽きない中、残る二人の穂村明美(以下:穂村)、友江Augstin真美(以下:友江)らと合流した。
 朋友との再会を喜びはしゃぐ姿は、まだ幼気な女学生そのものである。あの重々しい役柄を演じた張本人であるとはにわかに信じ難い。

━5人揃ったところで、改めて自己紹介を宜しくお願いします。


要窓花、15才です。まどか☆マギカがデビュー作です。陸上部に所属してます。

三木
三木沙夜、15才。同じくまどかが初出演。吹奏楽部所属。


桜杏、14才。まどかデビューです。部活は手芸部です。

友江
友江Augstin真美、16才です。
外国人役専門の俳優・エキストラのお仕事をさせて頂いております。
一応日本人です。茶道部所属です。

穂村
穂村明美、16才です。まどかデビュー。帰宅部のエースです。


━皆さんの芸名は役名とほぼ等しいですが、今後もこのお名前で活動なさるのでしょうか。

真美
あ、これ芸名じゃなくて本名なんですよ。
勘違いされるのも無理は無いんですが…。

━そうなんですか。となると疑問が上がるのですが、この役が決まるのは当然原作発売後ということで…


これには一つのエピソードがあるんです。
結論から言うと、「魔法少女の夜」の主人公達は私達がモデルになったそうです。

━??



実は私達5人はある映画のオーディションを受けていたんです。
その映画の原作者さんが虚淵さんで…

━なるほど、その映画の出演をきっかけにまどか☆マギガに抜擢されたと


いいえ、全員落ちました(笑)

━落ちたんですか(笑)


でも、そのオーディションには新房監督、虚淵さん、蒼樹先生も参加されていて、そのオーディションとは別に新たな企画が始まったそうです。

━それが「魔法少女の夜」というわけですね。映画「まどか☆」が原作ファンからも絶賛されている理由が解った気がします。


三木
私は原作の愛読者だったんだけど、名前が似てるキャラがいるなあぐらいにしか考えてなかった。
まさか映画のさやか役に抜擢されるなんて夢にも思わなかった。


私も杏子が名前似ててなんとなく感情移入してたなあ。

穂村
あんたらは名前のひねりがあってええなあ。



穂村ちゃんも姓と名が入れ替わってて特徴的だと思うよ。

穂村
それが厄介なのよ。
今までは学校で”明美ちゃん”で通ってたのに映画公開後は皆”ほむらちゃん”になって、
挙句家族からもほむらちゃんって…お前らも穂村ちゃんやろ!

━一同(笑)


━友江さんのミドルネームはどういった由来なのでしょうか

友江
母方の祖母がイギリス人なんです。
といっても日本に移住して長く、日本人よりも日本人って感じです。

━イギリスの方なのですか。しかしご自身は紅茶が苦手だと伺っております。

友江
それは祖母の影響かもしれません。
祖母は日本の文化が好きで、日本茶を嗜んでおりました。
私は小さい頃からお婆ちゃん子だったので、お茶会に参加して作法を伝授してもらってました。

三木
でもマミさんは紅茶派。

友江
そう。こればかりは新房さんと虚淵さんが恨めしいですね。なぜ日本茶にしなかったのかと。

穂村
ティロ・フィナーレの後に湯のみが降ってきてもねえ…

━一同(笑)


━まどか☆マギカはCGを多用せずアナログ特撮が多く採用されています。撮影には相当の苦難があったと思われます。


私の場合、冒頭のOPクレジットから既に大変でした。
ClariSの歌に合わせて全力疾走で変身する場面です。
陸上部に所属しているので走ることには自信があったのですが、まどからしさを出せずに何度もリテイクしました。

三木
私も現場にいたけど、あれは大変だったね。


フォームが綺麗すぎて女の子って感じじゃなかったんです。
陸上部所属が仇になりました。
結局上手くつかめないまま十数回撮り直して、くたくたになった頃に監督が「それだ!」って言ってくれて、ようやくOKをもらえました。


あれ距離長かったよね。
1回100mはあったんじゃない?


━100mダッシュ十数本ですか。


最初の撮影でそんな調子だったので、この先どんなアクションでも物怖じせずに取り組めました。

真美
もう何も怖くない!

━一同(笑)



でも第一部のEDクレジットでの全力疾走は速さを要求されたので伸び伸びと走れました。

穂村
全裸やしな。

━一同(笑)


やめて(笑)!
皆信じちゃうでしょ。
シルエットとはいえ水着は着てますよ。


━三木さんが印象に残ったアクションシーンはどこでしょうか。

三木
私はやっぱり杏子との対決シーンかなあ。
対ELSA MARIAも捨てがたいけど。


あ、私も〜。

要・穂村・真美
ああ〜。


━満場一致といった感じですね。

三木
新房監督のこだわりでスタントの方を起用しておらず、殺陣は私達本人で演じました。
私は剣術だったのでまだ良いほうなんですが…。


杏ちゃんは大変だったね。


そうなんですよぉ〜(泣)。
何なんですか多節棍って!

━一同(笑)



本番までの訓練期間があるんですけど、全然上達しなくて。
武術の先生に付きっ切りで泣きながら特訓してました。
クランクぎりぎりで修得したんですが、先生曰く
「こんな短期間でやるのは無謀だ」とのことで
ええ〜今更〜?って思いました。

三木
でも修得しちゃうんだからすごいよ。
地の性格と役柄も正反対だし。
このメンバーの中で一番頑張ったと思う。


本当に泣いてたもんね。

━スタントもCGも使用していないからこそ、迫力のある名場面になったのだと思います。


━友江さんはいかがでしょう。

友江
例の場面ですね。

━例の場面ですか。

友江
自由落下なんだからマネキンで良いと思うんですが。
何考えてるんでしょうかね、あの監督は。


こだわりますよね。


━頭部はどうなっているのでしょう。

友江
あれはさすがにCGで消してます。
合成しやすいように頭に緑色の特殊ビニールを被せられました。
視界を遮られつつ落下するのでとても怖ろしかったです。

穂村
あれ結構高かったよね。5mくらい?

友江
たぶんそのくらい。
体感では100mくらい落ちた感じ。
安全策でネット・緩衝材・プールの三段構えで万全なのだけれど…怖いものは怖い!

三木
さっきもう何も怖くないって言ってたのに(笑)

━一同(笑)


━穂村さんの印象に残ったアクションシーンはいかがでしょうか。

穂村
対ワルプルギスですね。
大変というか、貴重な体験をさせていただきました。

━あの場面もCGや合成はほとんど使用されていないそうですね。

穂村
そうなんです。
自衛隊の協力の下、本物の武器を使用させていただきました。
もちろんしっかりと訓練期間を設けて、武器の用途・使用方法などのレクチャーと実際に武器を扱う演習に参加しました。
弾は安全面に特化した模擬弾ですが、本体は本物です。


━やはり新房監督のこだわりで

穂村
そうです。
あの人■■です。
爆発シーンの一部で、前橋での撮影許可が下りなかったんですが、
「ゲリラ撮影で行けるかな?」
とかつぶやいてました。

三木
■■だね。

穂村
本物のゲリラになってしまうのでやめてください、と言って釘を刺したんですけど…。
納得いかない表情をしてましたね。

━ありがとうございます。皆様の体験から共通して導かれるのは、新房監督の映画に対する強いこだわりのようです。


━アクションシーン以外で印象に残った場面をお聞かせください。


QB可愛いかったね。


うんうん。


━あの生き物は実在するそうですね。


CGでもロボットでもありませんよ。
エゾフェネックに特殊メイクを施してるんです。

━近年発見された絶滅危惧種の。


はい。
絶滅危惧種といっても現地の島では生態系を狂わせるほど食欲旺盛で、今では多すぎるくらいなんだそうです。

━まさにQBですね。



でも本当可愛い奴なんです。


それにとっても賢いんですよ。
調教師の方の言うことを聞いて、撮影に全く支障が出ませんでした。

穂村
時々本当にインキュベーターなんじゃないかと思う。
小さいのにとても老成してる。

━謎めいた彼らの生態も含め、適役だったと言えるでしょう。



私は撮影に使われたお菓子とかが印象的だった。

━杏子はよく食べてましたね。


量も大変でしたが、初めて食べるものが多かったので戸惑いました。

三木
うまい棒初めて食べたんだっけ。

━一同 ええ〜〜!!



うん。うまい棒は…美味しかったです(笑)

━一同(笑)



両親が厳格なので、なかなかそういうのは食べられなかったんです。
たぶん…というか確実に映画本編を観て驚愕したと思います。


何か言われた?


ううん、何も…でもそれが逆に怖い。

友江
たぶん杏のご両親も映画での活躍を認めてくれてるんだと思う。
その上で杏子の粗野に関しては目を瞑ったんじゃない?

穂村
良いご両親じゃないか。

━同感です。


三木
私が印象深いのは上条君かな。

要・桜・穂村・友江
あ〜上条君。

━さやかの思い人ですね。彼の名前も本名なのですか?

三木
そう、例のオーディションの参加者です。
彼は本当にヴァイオリンが上手で、撮影の合間に色々弾いてくれました。


こちらのリクエストにも即興で弾いてしまうんですよ。

━それはすごいですね。


三木
皆触発されて自前の楽器持ってきて一緒にセッションしてました。
私はフルート、杏ちゃんはティンホイッスル、真美さんはギター、穂村ちゃんはパーカッション。


そして私はマラカス担当(笑)

━一同(笑)

穂村
それでもリズム外してたな。


マラカスは奥が深いの!


三木
音声カットの都合でアフレコになってるけど、上条君の演奏は本当にすごかった。
私のラストカットでも演技ではなく本当に涙が出た。
クランクアップでもう皆と会えない気持ちが重なって…。
思い出しても泣ける…。


私もあのシーンで一緒に撮影してたんですが、ボロボロもらい泣きしちゃって。
女神なんてもんじゃなかったです。
情けないことに私だけ撮り直しでした。

友江
杏も泣いてたよね。


うん。撮影も絡みも無いのに(笑)。
でもさっき沙夜ちゃんが言ってた気持ちと同じだった。


━多くのエピソードをありがとうございます。
最後に読者の方々に一言お願いします。


原作を見た方も見てない方も楽しめる映画だと思います。
是非、映画館へ足を運んでみて下さい。

三木
デビュー作がまどか☆マギカで本当に良かった。
一生の思い出です。
あわよくばこの映画が皆様の思い出になればと思います。


魔法少女ではありますが、CGに頼らない写実的な表現を重視してます。
特にアクションが凄いです。
多節棍もCGじゃないですよ!!

友江
映画のテーマは重いけれど、だからこそ意義があると思います。
映画が終わっても、一緒に観に行った人と議論したり考えたりすると面白いかもしれません。

穂村
今更ですが眼鏡は私の自前の物です。
それを踏まえて観て下さい。


 今回は時間の都合で多くを引き出せなかった。
 しかしこのインタビューを通じて、筆者である私は彼女達の無限の可能性を感じた次第である。


閉じる/CLOSE

inserted by FC2 system